聖女の愛した花園
学院の象徴的存在・白雪さゆりの死亡は生徒たちに大きな衝撃と深い悲しみを与えた。彼女を殺めた犯人が親友だった乙木佳乃子だということが更に悲劇的である。
そしてこの事件をきっかけに、寮長と副寮長全員が学院を去ることになった。天に召されたさゆりお姉さまはもちろんのこと、逮捕されてしまった佳乃子さまと笠吹さま、自主退学した姫宮さま。特に笠吹さまの逮捕も姫宮さまの退学も他の生徒たちには知らされず、突然退学されたことに動揺と混乱を招いていた。
そんな生徒たちを前に、筒見さんは堂々と言った。
「蘭華お姉さまも渚さまも大切なご友人を亡くされ、深い悲しみを抱いておられます。今はそっとしてあげるべきでしょう」
筒見さんの言葉のおかげか、妙な噂が飛び交うことはなかった。私は筒見さんに訊ねた。
「あなたはお姉さまの秘密を暴きたかったはずなのに、どうして隠したの?」
そう、さゆりお姉さまが秘密裏に妊娠していたことは伏せられた。事件のことは大きく報道されたが、やはり被害者が妊娠していたという事実が報道されることはなかった。これは白雪家が握り潰した可能性があるけれど。