聖女の愛した花園
「さゆりを穢した男を絶対に許さないと思っていただけに、相手が渚さまと知って複雑だったと思うけど――許すことにしたって」
「笠吹さまは本当にお優しくて強い方ね」
「そうよ。だから私は待つの。蘭華お姉さまのこと、ずっと待っているわ」
私は純粋に羨ましいと思った。お互いのことを信頼し合い、強い絆で結ばれた二人のことを。最初こそ筒見さんは目的を遂行する手段だったし、笠吹さまもまた筒見さんに愛する人の面影を求めていた。だけどいつしか姉妹としての深い絆を育んでいた。きっとこの絆はずっと続いていくものなのだろう。
「シスター制度なんて最初は馬鹿げてるって思ってたのにね」
「でもお姉さまがいるって素晴らしいことよ」
「それから流奈は妹は迎えないの? って聞かれたわ」
「妹か」
「ちゃんと決めなさいって怒られちゃった」
「こんな状況で私たちの妹になりたい一年生がいるのかしらね」
「同感」
私たちは顔を見合わせ、思わず笑った。
「……なんでこんな時に次期幹部会の役員選挙なんてやるのかしら」
「こんな時だからでしょ」
「そうよね。健闘を祈るわ――透」
不意に呼ばれて驚いたけれど、微笑み返した。
「こちらこそ。お互い頑張りましょう、流奈」
そうして私たちは互いの寮へと戻っていった。