聖女の愛した花園
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「久しぶりだね、透」
学院の目の前で待っていたのは長かった黒髪をバッサリと切り、水色のシャツに白のスキニーを履いていた姫宮さまだった。こうしてみるとどこから見ても男性にしか見えない。
「ご無沙汰しています、姫宮さま」
「さまはやめてよ。もう先輩じゃないんだし」
「では、姫宮さん」
「うん」
姫宮さんは微笑む。
「ちょっと歩きながら話しませんか」
「透は大丈夫なの? 学院を出ても」
「少しくらい大丈夫です。上手くやります」
あの事件以降、学院は更に厳しくなって今は外出許可も出ない程だ。いい加減息苦しくて仕方なかったので少し散歩するくらい見逃して欲しい。
私たちは学院から出て並木通りを歩きながら話した。
「流奈は元気?」
「元気ですよ。今日は先生に呼び出されてどうしても抜けられなかったみたいですけど」
「そっか」
私たちは特に目を付けられているし、二人一緒に行動しない方が良いと今日は私だけとなった。