聖女の愛した花園


「母が施設に入ることになったんだ。カウンセリングを受けて少しずつ治療することになった」
「そうなんですか」
「蘭華が紹介してくれたんだ」

 退学した姫宮さんは自身の母親にすべてを話したらしい。娘が突然男の姿となり、自分には子どもがいると打ち明けられた母親は発狂して大暴れしたそうだけど、姫宮さんは母と向き合うことから逃げなかった。笠吹さまの口添えもあり、笠吹メディカルグループが運営する施設に入ることになったそうだ。

「蘭華とはこの前会ってきた。お礼を言って、どうして母を助けてくれたのか聞いたら、目の前で苦しんでいる人を助けるのが医者でしょって……」
「笠吹さまらしいですね」
「僕のことを許してくれたのもあの子には父親が必要だからって。敵わないなぁって思ったよ」
「あの、この際聞いてもいいですか?」
「何が?」
「どうしてさゆりお姉さまだったのですか? 正直子どもを産ませるためなら笠吹さまでも相応しかったのでは? 家柄の良さはもちろん、同じ黒薔薇寮で会いに行くのは簡単だし」
「透……すごいこと聞くね」
「この際全部聞きたいと思ったので」

 私はあっけらかんという。


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