聖女の愛した花園


 笠吹さまはいつもつまらなそうにぼやいている。いつもはお姉さまを敵視しているけれど、きっと本気で嫌っているわけではないのだろう。

 姫宮さまは部活を引退し、部長を後輩に譲った。それでも今も弓道場で弓を射る姿を何度か見かけている。

「なんだか落ち着かないんだ。いつもは隣にさゆりがいたのにね」

 姫宮さまは寂しそうに苦笑していた。
 筒見さんは元よりさゆりお姉さまとの接点が少なかったから、特に変わらない。だけど笠吹さまについているのではなく、一人になることが多くなった。きっと彼女も寮長になる準備を進めているということなのだろう。

 他の生徒たちもお姿の見えないさゆりお姉さまを気にして、部屋を訪ねてくる者もいた。

「さゆりお姉さまは面会謝絶です。お帰りください」

 私はそうやって訪ねてくる生徒を追い返していた。実際お姉さまは誰ともお会いになられないし、少しでもお姉さまの負担を減らそうと思った。
 だけどお姉さま、妹の私にも会ってくださらないなんて。今頃どうしていらっしゃるのだろう。

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