聖女の愛した花園


 *

 この日は授業が午前中までで午後からは課外授業となっていた。リリスの課外授業は他の学校のものとは違い、美術館を回ったりオペラを観劇したり芸術に触れるものだ。
 だけど私は、さゆりお姉さまが気がかりだった。お姉さまはやはり自室に残るらしい。私はこっそり寮に残ることにした。

 午前中で授業が終わり、十二時から食堂で昼食となる。昼食が終わってから、生徒たちは寮を退去することになる。十三時半には出発する時間となっており、多くの生徒が外出の準備をしていた。

 その中で、二人の白百合寮生が困ったように花壇の茂みをかき分けていた。何かを探しているらしいことは一目瞭然だったので、声をかけた。

「どうかなさったの?」
「ああ、透さま……実は猫がどこかに行ってしまったのです」

 困ったように眉を八の字に曲げて答えたのは、一年生だった。

「この近くにいる野良猫なんですが、私たち毎日エサをあげているんです。でも、今日は一度も姿を見ていなくて」
「もしかしてどこかで怪我をしたんじゃないかと、心配で……」
「まあ、そうなの。でも、そろそろ出ないといけない時間じゃなくて?」
「そうですよね……」


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