聖女の愛した花園
こうして見ると、改めてこの学院の敷地の広さを感じた。中等部、高等部合わせて校舎は東棟と西棟があり、寮も白百合寮と黒薔薇寮の二つの建物がある。
それとは別に体育館、倉庫やゴミを燃やすための焼却炉、そして学院の象徴でもある礼拝堂。そのどれもが静かな荘厳さを放っていた。私は猫を探しながら、学院中を歩き回る。学院内を歩いていると、お姉さまと過ごした日々が思い起こされる。
初めてさゆりお姉さまを拝見した時の衝撃は今でも忘れない。こんなに美しいひとが存在するのかと目を疑った。柔らかなグレージュの絹のような長い髪、白雪の肌、紅梅色の頬、長い睫毛、そして形の整った薄い唇。
だがさゆりお姉さまの美しさは内面にこそある。内面が美しいからこそ、外見の美しさが際立つのだ。さゆりお姉さまは正に完璧で究極の聖女なのだ。
ああ、早く会いたい……。
私は生徒手帳に挟んだ写真を取り出す。お姉さまと二人で撮影したものだ。お守りみたいにいつも肌身離さず持ち歩いている。猫を無事に見つけたら、少しだけお姉さまを訪ねてみようと思った。
「あら?」
私はふと、とある人影に目を奪われる。自分以外に誰もいないと思っていただけに、とても驚いた。
「筒見さん……?」