聖女の愛した花園


 筒見さんは一人で院内を歩いていた。私は咄嗟に階段を駆け上がり、隠れながら様子を見守った。隠れる必要はなかったのかもしれないが、課外授業をサボっていると知られたくなかった。と言ってもここにいる時点で、彼女も似たようなものかもしれないけれど。

 筒見さんは白百合寮の方へ向かっていった。黒薔薇寮であるはずなのに、何故白百合寮の方へ向かったのだろう。何となく気になったが、鉢合わせても気まずいだけだと思ってやめた。

 それよりも自分の仕事を全うしなくては。生徒のために迷い猫を見つけたと聞いたら、さゆりお姉さまは褒めてくださるかしら。そう思うとより一層気合いが入る。

「あれ? 焼却炉が動いてる」

 焼却炉の近くを通りかかってみたら、焼却炉が動いていたので驚いた。寮監がゴミを燃やした直後だったのだろうか?
 いつも決まった時間に焼却炉を使うので少し不思議に思いつつ、焼却炉の真下に何かが落ちていることに気がつく。何だろうと思って拾い上げると、燃え焦げた切れ端だった。

「何これ?」


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