聖女の愛した花園
一体どういうことなの? マリア様が産み落としたイエス・キリストだとでもいうの?
そんな馬鹿げたことはあり得ない。目の前の赤子は正真正銘、人間の男の子なのだから。つまりはこの学院に、この子を産んだ母親がいるということなのだ。
いや、そんなことがあり得るの? でもこのへその緒が何よりの証拠だし、よく見れば布は赤黒く染まっている。
「……っ」
目眩と吐き気がしそうになった。意識を手放してしまいたいと思ったが、そうならなかったのは私の中の確かな正義感が「この子を救いたい」と囁いたから。医学の知識がない私でも、このままにしていたら赤子の命が危険に晒されるということはわかる。とにかく一刻も早くここから連れ出さなければ。
私は布に包めた新生児を抱きかかえ、とりあえず自分の部屋に連れて帰った。裸のままでは可哀想だと思ったので、上から更にバスタオルと毛布で包み、なるべく体が冷えないようにした。とにかく誰か先生に知らせなければ。そう思った直後。
「きゃああああああああああ」
甲高い悲鳴が轟く。この声は……もしかして佳乃子さま?