聖女の愛した花園


 全員の覚悟が決まった。自分を含め容疑者は五人。この中にきっと犯人がいる。聖女を殺め、悲しむフリをしている悪魔が――。

 *

 まずは遺体の確認と現場の状況整理。警察官ではない私は父や兄の受け売りでしかできないけれど、自分なりに注視してみようと思った。

 改めて変わり果てたさゆりお姉さまに目を向ける。穏やかに眠っているようなのに、腹部には刃物が突き立てられぱっくりと開かれている。とても痛々しく、そして生々しい程大量の血で純白のセーラーもカーペットも真っ赤に染まっていた。血はカーペット以外にも飛び散っており、壁や机の脚にも血の跡が見える。

「普通に考えれば刺殺だと思うけど」

 一点だけ、気になることがある。それはお姉さまの首にくっきりと残っている、首を絞められたような痕。

「腹部を刺された上に首まで絞められた?」

 私はさゆりお姉さまの腹部の切り傷を更に注視した。

「この切り口、なんだか妙ね……」


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