聖女の愛した花園


「だってそうでしょう? 本来この時間、寮にいるのはおかしいのよ。なのに五人も、いえさゆりさんを入れたら六人も寮に残っているなんて」

 姫宮さまがコホン、と咳払いした。

「私はさゆりに話があるから時間を作って欲しいと言われていたんだ。部屋にこもりきりのさゆりが話があるなんてよっぽどのことだろうと思って、先生に言って課外授業は欠席させてもらった」
「話とは何ですか?」
「さあ……。弓道部関係のことじゃないかとは思っていたけど」
「それは何時頃ですか?」
「十四時半頃だったかな。でも不在のようだったから一度部屋に戻った。……今思えば、中にいたのかもしれないけれど」

 そう言って姫宮さまは表情に影を落とす。

「それから佳乃子の悲鳴が聞こえるまでは自室にいたよ」
「それを証明できる人は?」
「いないかな……」
「わかりました、ありがとうございます。では次は私が話します」

 この流れで話してしまおうと思い、私はそのまま話を続ける。


< 36 / 176 >

この作品をシェア

pagetop