聖女の愛した花園


「私はさゆりお姉さまのことが心配で課外授業どころではないと思っていました。そうしたら白百合の一年生が迷い猫を探していたので、これを建前に寮に残ろうと思ったのです。しばらく学院の中を巡って猫を探していたのですが、その最中に筒見さんを見かけました」

 すると一斉に視線が筒見さんに集まる。

「あの時白百合寮の方へ向かっていたように見えたけど、何をしていたの?」
「雛森さん、私を疑ってる?」

 筒見さんの視線が明らかに鋭くなる。声色には不快感が滲んでいた。

「いえ、ただの確認よ」

 筒見さんは納得いかないような仏頂面のまま答えた。

「白百合寮じゃなくて図書館に行こうとしていたの」
「図書館は黒薔薇寮の方にもあるのに?」

 リリスには白百合寮の近くにある第一図書館と黒薔薇寮の近くにある第二図書館の二つがある。

「第二には欲しい本がなかったから。私はオペラや美術館に興味はないから、自室でゆっくり課題を仕上げようと思っていたのよ」
「ではずっと図書館にいたの?」
「そうね。それから悲鳴を聞きつけてやって来たというわけ」


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