聖女の愛した花園
「そういえば、私がさゆりの部屋から戻る時佳乃子とすれ違ったよね?」
「えっ」
佳乃子さまの視線が一瞬泳いだ、ような気がした。
「あっ、ああ……保健室の帰りでしょうか」
「保健室?」
「はい、眩暈がしたから貧血の薬をもらいに行ってたんです。課外授業を欠席したのも体調が優れなかったからです」
「保健室に先生はいましたか?」
「いらっしゃらなくて……薬は前にもいただいたことがありましたから、書き置きを残して薬をいただきました」
「そうですか。佳乃子さまがさゆりお姉さまの自室に行ったのは十六時頃ですよね?」
私はちらりと時計を見ながら訊ねる。現在時刻は十六時半を指していた。
「はい、そうだと思います」
「姫宮さまがお姉さまを尋ねたのが十四時半頃。その時に保健室から戻る途中の佳乃子さまとすれ違った。相違ありませんか?」
「は、はい」
「十六時までの間はどこで何を?」