聖女の愛した花園
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リネン室からシーツを持ってきてお姉さまの遺体と血が飛び散ったカーペット全体を覆い隠すように被せた。所謂現場保存というやつだ。本格的な捜査は警察が行うことになるだろうし、なるべく荒らさないようにしなければ。こんなことをしている時点で父にも兄にも大目玉を食らうことになるだろうが。
私たちは一旦談話室に移動して話し合うことにした。佳乃子さまが気を利かせて紅茶を淹れてきてくださったが、優雅なティータイムという雰囲気ではない。しかしさっきから喉がカラカラだったので有難くいただこうとしたのだが、
「毒が盛られていたりしてね」
筒見さんの言葉に思わず私もカップから口を離す。すると佳乃子さまが心外だと言わんばかりに顔を真っ赤にする。
「そんなこといたしませんっ!」
「冗談です。もし毒殺だったらそんなこともあり得るのかと思っただけです」
「流奈、笑えない冗談はやめなさい」
「失礼いたしました」
「妹が無礼でごめんなさい」
笠吹さまが頭を下げる。その姿に恐縮したのか、やや興奮気味だった佳乃子さまが慌てて制する。
「や、やめてください蘭華さん。そんな、気にしてませんから。こんな状況ですし……」