聖女の愛した花園


 そう言って筒見さんはめくっていたシーツを元に戻した。その様子を見ながら考える、もしも彼女が犯人だとしたら一体動機は何なのだろう?

 正直全員動機が明確にあるわけではない。日頃からさゆりお姉さまをライバル視していた笠吹さまが一番動機を持っていそうなくらいで、他二人も動機らしいものがあるとは思えない。

 だがこの中で一番お姉さまとの接点が希薄な筒見さんは最も動機が想像しにくい。リリスの幹部として関わることはあったけれど、個人的な交友はなかったはずだ。二人が直接会話しているところもほとんど見たことがない。

 そもそも筒見さんは常に笠吹さまの隣にいるイメージしかない。同じ学年だが寮は違うし同じクラスになったこともないので、実のところ彼女のことは知らないことが多い。

「……あれ、」

 何気なく筒見さんの横顔を見ていたら気づいたことがあった。筒見さんの耳の形がさゆりお姉さまの耳の形と似ている。さゆりお姉さまは耳の形すらも綺麗で縦に長い三日月型だ。小振りで耳朶は薄くてかわいらしい耳をしている。それと同じような形をしているのだ。

 偶然だろうか? 耳の形なんてなかなか似るものではないと思うけれど。


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