聖女の愛した花園


「……あ」

 余所見をしていて近くにあったゴミ箱を倒してしまった。中には丸められた紙が入っていたらしく、床に散らばってしまう。私はしゃがみ込んで紙屑をゴミ箱の中に戻そうとして、一瞬見えた文字に手を止める。

「調査書……?」

 調査書という文字が気になり、丸められた紙を開いてみた。そこに書かれている文字を目で追っていくと、どんどん心臓の動悸が速くなる。どくんどくん、と脈打つ心臓の音が耳にはっきりと聞こえる。

「こ、れは……」

 私は他の紙屑も開いてみた。その内容に書かれていたのは――、

「雛森さん?」
「……」
「どうしたの? 何か見つけた?」
「……九十九パーセント……」
「え?」
「DNA鑑定の結果――白雪正邦(まさくに)と筒見流奈を親子と認める」

 白雪正邦は白雪財閥会長、つまりさゆりお姉さまの父親の名である。接点が薄いだなんてとんでもなかった。むしろ誰よりも濃い繋がりを持っていた。

「あなたとさゆりお姉さまは――」
「姉妹よ」

 筒見さんは真顔かつ抑揚のない声で答えた。

「腹違いのね」

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