聖女の愛した花園

第三章【復讐の継承】


 私の母、筒見礼奈(れいな)は小さな薬局を経営する家の娘だった。千葉県の房総で地元に寄り添い、細々とだが家族で楽しくやっていた。悲劇が訪れたのは、礼奈の母(つまり私にとっては祖母にあたる)が心臓病を患ったことだった。難しい手術が必要となり、その資金には莫大な金が必要だった。

 家族は薬局を畳み、都内に引っ越して祖母を大きな病院に入院させた。祖父は朝から晩まで身を粉にして働き、入院資金と手術資金を稼いだ。礼奈も祖母の看病をしながら、夜はキャバクラで働いた。慣れない水商売、同僚のキャバ嬢からは「客を奪った」とやっかみを受けることがあり、体力的にも精神的にも厳しかったそうだ。それでも母のためだと自分に言い聞かせ、毎晩笑顔を貼り付けて客の相手をしていた。

「君は何故ここで働いているんだ?」

 礼奈の常連の一人に白雪という男がいた。羽振りが良く身につけているスーツも腕時計も何百万という高級品ばかりで、かなりの資産家だということが伺える。

「母が病気でお金が必要なんです」

 礼奈が素直に答えると、少し考えた後白雪はこう言った。

「その資金、俺が払うというのはどうだ」

 そう言われて礼奈は慌てて断った。

「そんなこと、お願いできるはずがありません」
「だったら君を買うというのはどうだろう」


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