聖女の愛した花園
この男、白雪正邦はあの白雪財閥の御曹司だった。早い話が自分の秘書になれという話だった。白雪は数分単位の過密スケジュールで動いており、秘書も何人もいる。その中の一人になるということだった。母からすれば有難い話でしかなく、キャバクラを辞めて白雪の秘書となった。同時に礼奈は白雪の愛人となった。買うという本来の意味はこちらだった。
白雪には妻がおり、同じように資産家の令嬢でミスユニバースに選ばれるような完璧な美人だった。しかし所謂政略結婚で表向きはおしどり夫婦を演じていたが、実際はそうでもないらしい。母は白雪のその言葉を信じ、愛されているのは自分なのだという優越感に浸っていた。
やがて母は私を身籠った。しかしこの妊娠が母の人生を大きく狂わせることになる。母の懐妊を知り、白雪の両親は烈火の如く怒り狂う。この二人は白雪という家に誇りを持っており、由緒正しき白雪の血筋に庶民の血が入るなどあってはならないことだと激怒した。白雪家は母に莫大な手切金を渡し、身重の母を白雪家から追放した。
母が白雪家から追放されたということは、同時に祖母への援助も切られることになる。しばらくは何とかなったが急に容態が悪化し、祖母はその年に息を引き取った。その後祖父も過労で倒れ、祖母の後を追うように亡くなったという。