聖女の愛した花園
白雪財閥が二社の製薬会社を買収し、更に事業を拡大するというニュースだった。新聞や週刊誌でも大きく報じられた。週刊誌では「令和のロイヤルファミリー」と見出しが出ており、白雪家について紹介されていた。
そこに紹介されていたのはまるで絵に描いたような幸せな家族だった。白雪正邦とその妻、そして一人娘が仲睦まじく写った写真が大きく載せられている。夫婦だけのツーショットもあり、その写真はどこから見てもお似合いの夫婦だった。正邦はインタビュー記事で次のように語っていた。
『どんな時でも家族には感謝しています。妻と娘が支えてくれるからこそ今の私はあるのです。家族と過ごす時間が一番の幸せです』
母はそのインタビュー記事を読み終わった直後、週刊誌をビリビリに破り捨てた。頭をガシガシと掻きむしり、悲鳴にも似た声で叫ぶ。
「家族との時間が幸せ? 嘘つきっ! 奥さんのことなんか愛してないって言ってたくせに!」
母は立ち上がり、机の上に置いてあったものをひっくり返す。タンスから衣服を引っ張り出し、グシャグシャにして床にぶちまける。
「あなたの家庭の裏には私たち親子の犠牲があるのよ! 流奈もあなたの娘なのよ! それなのにっ、全部なかったことにするつもりなの!?」