聖女の愛した花園
「申し遅れました、黒薔薇寮の筒見流奈です。さゆりさまにはいつもお世話になっております」
「あ、ああ……お疲れ様です」
メイドは突然話しかけてきた私に戸惑っていたが、幹部の一人だと察したのかやや警戒心を解いた。
「ずっとさゆりさまのお顔を拝見していないのでとても心配です」
「お気遣いありがとうございます。どうも吐き気がしてご体調が優れないようでなかなか寮長の仕事ができず、申し訳ないと仰っていました」
「とんでもございません。さゆりさま、もしかして大きなご病気でしょうか……?」
「いえ、そういうわけではございませんが……すみません、もう行きますね」
メイドはそそくさと立ち去ってしまった。直感で何かある、と思った。しかしメイドはガードが固く口を割ろうとはしない。お見舞いも断っているらしく、誰にも会わないようにしているらしい。ますます何かあると踏み、私は寮長になるためお姉さまから自立したいと申し出て単独行動を許してもらうことにした。白百合寮の生徒にさりげなく聞き込みをして回り、さゆりについて何か知らないかと訊ねた。
「そういえば、この前寮でさゆりさまのお姿を見かけました」
一人の白百合寮生が言った。
「本当ですか?」
「ええ、久しぶりにお姿をお目にかかれて嬉しくて話しかけようと思ったのですが、すぐにお部屋に戻られてしまって。だけどその時なんだか違和感を感じたんです」
「違和感?」