聖女の愛した花園
筒見さんはキッと睨む。
「倒れているのを見て、人を呼ばなかったのは何故?」
私が睨み返すと、筒見さんは言い淀む。
「それ、は……」
「やっぱりあなたが殺したんじゃないの?」
「違う! 最初は死んでるなんて思わなかったのよ! 気絶しているのかと思って近づいたら息をしてなかった。怖くなって逃げ出した。悪い!?」
「死んでると思わなかった? この状況を見てどうして死んでいると思わなかったの?」
「っ……」
「筒見さん! 答えて!」
「…………ったから」
筒見さんは呟く。
「私が見た時、血なんてなかった……遺体は綺麗だったの。だから私、寝てるのか気絶してるのかと思って近づいた。そしたら、息をしてなくて……」
筒見さんの顔は青ざめていた。
「やっぱり……」
私は呟く。「え?」と筒見さんが顔を上げた。
「何となくそうじゃないかと思っていた。恐らくお姉さまの死因は絞殺。首を絞められた後に腹を切られた」
全員が目を見開き、息を呑むのがわかった。私は続ける。
「刺殺だったらナイフを持って突き刺すのが普通でしょ。でもこの切り傷は違う、腹を裂いて切り開いたような切り口よ。ねぇ筒見さん、あなたが本当に見たものを話して」
「……ふふっ」
この場に相応しくない笑い声が聞こえた。
「本当にそれを話してもいいの?」
筒見さんは私に向かって嘲笑する。