聖女の愛した花園


「流奈がやってないと言うのなら信じるわ」
「蘭華お姉さま、何故ですか? どうしてこんな私を信じてくれるんです?」
「私はあなたの姉だもの」

 笠吹さまはきっぱりと言い切った。

「流奈がそんなに苦しんでいたことには気づけなかったけど、嘘をついてないことくらいはわかるわ」
「お姉さま……」

 筒見さんの目は赤かった。私は小さく息を吐いた。腹を括るしかないと思った。

「……皆さん、少し待っていてください」

 黒薔薇姉妹はお互いに押し黙っていた。佳乃子さまは信じられないと言わんばかりに頻りに首を横に振り、姫宮さまは呆然と俯いていた。この状況で真実を突きつけるのは、私としてもしんどい。

 だがそうも言っていられないので一人現場を離れる。自室に戻ると、ベッドの上でその子はすやすやと眠っていた。起こさないようにゆっくりと抱き上げる。改めて顔をよく見たけれど、生まれたばかりで似ているのかよくわからなかった。

「お待たせしました」

 私が戻ってくると、全員「えっ」と声を漏らす。ヒッと悲鳴にも似た声をあげて口を押さえる佳乃子さま、赤ん坊を凝視して固まる姫宮さま、「どうして?」という声が漏れ出る笠吹さま。

「まさか、雛森さん知っていたの?」

 流石の筒見さんも眉間に皺が寄っていた。


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