聖女の愛した花園
私とさゆりが仲良くしていることを父は大いに喜んだ。白雪財閥に取り入ることができるからだ。子どもの頃はよくわからなかったけれど、今ならわかる。さゆりの両親はほとんど家を不在にしており、いつ遊びに行ってもさゆりと使用人以外はいなかった。
「さゆちゃんは一人でさみしくないの?」
「一人じゃないもの。メイドさんたちがいるし」
「でも、パパとママはいないよ?」
「お父さまもお母さまもお仕事がいそがしいからしかたないの」
そう言って笑うさゆりはいじらしい程にかわいかった。
「らんかはさゆちゃんといっしょだからね!」
「ありがとう、蘭ちゃん」
私はさゆりが白雪財閥の娘だから一緒にいるんじゃない、さゆりのことが好きだから一緒にいたいのだ。このままずっと仲の良い友達でいたい。この頃の私はまだ純粋だった。
*
小学三年の時、父に我儘を言ってさゆりの通う聖リリス女学院初等部に転校させてもらった。さゆりを驚かせようとして黙っていたので、転校生として私が紹介された時は驚いていた。
「蘭ちゃんどうして?」
「えへへ、パパにおねがいしちゃった。今日から学校でもいっしょだよ」
「うれしい」
さゆりが嬉しそうにはにかんでくれたことが私も嬉しかった。これでいつもさゆりと一緒にいられる、そう思っていたのだけれど。