聖女の愛した花園
私は学校が終わった後、すぐにさゆりのお見舞いに行った。さゆりは眠り姫のように静かに眠っていた。熱が上がったようでつらそうだった。何か手伝えることはないかとメイドに申し出ても「ありません」と突っぱねられてしまうので、ただ隣に寄り添って見つめていた。
「……ん」
「あ、おはよう。大丈夫、さゆちゃん?」
「蘭ちゃん……?」
「お見舞いに来たの。何にもできないけどね」
「……ううん、ありがとう」
熱のせいか瞳が潤んでいるさゆりがいつも以上にかわいくてときめいた。薬が効いて楽になったさゆりとメイドが持ってきてくれたりんごを食べる。
「わたしがお医者さんになれたらさゆちゃんのこと助けられるのかなぁ」
りんごを食べながら何気なくそう言うと、さゆりはぱあっと表情を明るくさせた。
「それ、とってもすてきだと思う!」
「え、でも、わたしがお医者さんになれるかな」
「なれるわよ」
さゆりは真剣だった。
「蘭ちゃんは絶対にお医者さんになれる。きっと困ってる人を助ける立派なお医者さんになれるわ」
無垢な天使の笑顔でそう言われ、私の心はときめいた。
「さゆちゃんが言うならお医者さんになる。さゆちゃんのこと、わたしが助けてあげる」
「うん、お願いね」
「約束ね」
「約束だよ」