聖女の愛した花園


 小指を絡ませ指切りげんまんした。さゆりがなれると言ってくれるなら、嫌いな勉強も頑張れる気がした。さゆりが応援してくれるなら何だってなれる気がする。私にとってさゆりは光そのものだった。

 その後進級してクラスが変わっても私とさゆりは常に一緒だった。他の友達なんていらない、さゆりが一緒にいてくれるだけでよかった。さゆりがどう思っていたかはわからないけれど、少なくとも私との時間を楽しんでいてくれていたと思う。

「蘭華さんったらさゆりさんのこと独り占めしてばかり」
「これだから我儘なお嬢様は困りますわ」

 私たちのこと、特に私に対して陰口を叩く者はたくさんいた。悪く言われるのは常に私だ。そのことをさゆりは気にしたけれど、私にとってはどうでもいい。

「さゆり以外の人が言うことなんて聞くだけ無駄よ」
「もう……蘭華ったら」

 私にはさゆりさえいればいいの。ねぇ、さゆりもそう思ってくれてる? 私たち、お互いにお互いだけがいれば充分幸せだと思うの。

 時折思う、何故私たちは別々の人間なのだろう。さゆりの心臓の鼓動と私の鼓動が混ざり合って一つに溶け合うことはできないのだろうか。同化して一つの生命体になれたら永遠にさゆりと一緒にいられるのに――この気持ちが母親やおもちゃを取られたくない子どもじみた独占欲なのか、はたまた別の感情なのかわからなかった。この気持ちに名前を付けるには、私はまだまだ幼すぎた。

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