聖女の愛した花園
*
中等部に上がり、私たちは寮に入った。不幸なことに私は黒薔薇寮、さゆりは白百合寮に組み分けされた。私たちを引き離すなんて、私たちの仲を妬む者たちの陰謀としか思えない。クラスも異なり顔を合わせる機会が減ってしまった。
「さゆりに会いたい……」
さゆりのいない日々はなんてつまらないのだろう。世界が灰色に染まって見える。何をするにも何か物足りないと思ったけれど、勉強だけは真面目にやった。医学部に入るには並大抵の学力では足りないからだ。さゆりとの約束を胸に、勉強に励んでいた。
ある日、さゆりの姿を見つけた。久々に会えたことが嬉しくて声をかけたが、さゆりは私に気づかず行ってしまった。どこへ行くのだろうと追いかけてみると、さゆりはバラ園の中に入っていく。そこには一人の生徒がいた。バラ園の中にあるベンチに座り、俯いている。どうやら泣いているようでさゆりがその子に寄り添い、ハンカチを手渡していた。何だかわからないが、何となく話しかけられない雰囲気を感じてその場を立ち去った。
さゆりが一人に対してあんな風に優しく寄り添う姿は初めて見た。あの子は一体何者なのだろう? 翌日もその子とさゆりが一緒にお昼を食べている姿を見かけた。私はたまらなくなって駆け出した。
「さゆり!」
「あら、蘭華」
私に気づくとさゆりはニコッと微笑む。
「そちらの方は?」