聖女の愛した花園
周囲の者たちはいつしか私たちをライバル同士だと認識するようになった。間もなくして私は次期黒薔薇寮長と姉妹の契りを結び、白百合寮長の妹となったさゆりと同じ幹部の一人となった。
急に態度を変えた私に対し、さゆりは何も言わなかった。ただ私に合わせてライバルごっこを続けてくれた。佳乃子とはそれからもずっと一緒だった。逆に私は姫宮渚という少女とつるむようになっていた。
「蘭華、食堂行かない?」
「いいわよ、渚」
渚は噂好きのお嬢様たちとは違い、どこかクールで理知的な人物だった。席替えをしてたまたま席が隣同士になって話すようになったのだが、なかなかどうして彼女といるのは居心地が良かった。
「今日の日替わりランチはビーフシチューだそうだよ」
「そう。でも私、今日は中華の気分なの」
「いいね、フカヒレ食べたくなってきた」
「ランチにフカヒレは重すぎるんじゃなくて?」
「弓道は体力と精神力を使うから蓄えておきたいんだよ」
「あらそうなの」
渚はさゆりと同じ弓道部に所属しており、それなりにさゆりとはよく喋るらしい。だけどそのことを特に私に話してはこない。私がさゆりに突っかかる理由についても特に聞かない。察しているのかどうなのかわからないけれど、渚のそういう他人に干渉しないところは助かっていた。今までさゆりしかいらないと思っていた私にとって、自然と付き合える相手は貴重だった。