聖女の愛した花園
今思えば、どことなくさゆりに似ている彼女を手元に置いておきたかったのかもしれない。流奈とさゆりは性格はまるで違う。ただ少しだけ容姿が似ている、それだけなのに。そんな邪な気持ちで妹を選んだことに最初こそ罪悪感を抱いたが、結果的に流奈を妹にして良かったと思った。
とにかく流奈はよくできた妹だった。姉である私を常に立ててくれるし、先回りして色々やってくれる。おっとりした生粋のお嬢様たちとは違い、行動力があって頭も良い。佳乃子のことをさゆりの腰巾着と見下していたくせに、妹に普通の子を選ぶなんて我ながら矛盾している自覚はあった。どうしてこうも心とは矛盾してしまうものなのだろう。
私がずっと変わらずに続けていることと言えば、医師になる勉強だけだ。これだけは腐らずに頑張ってきた。もはや医師になる夢だけが、私とさゆりを繋ぐ唯一の繋がりだった。
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寮長選挙で見事当選した私は黒薔薇寮長となった。胸に輝く金色の寮長バッジは私にとって誇りだった。白百合の寮長バッジを持つさゆりと密かにお揃いだから――なんて未だに馬鹿げたことを考えてしまう程には、彼女への想いを募らせていた。それでも絶対にひた隠しにしてやるという覚悟だけは強かった。