聖女の愛した花園
きっと彼女も寮に残っているのだろう。もしかしたら今は私とさゆりの二人きりかもしれない。そう思うと昂る気持ちが抑えられない。
「……ほんの少しだけ、顔を見るだけよ」
誰にしているのかわからない言い訳をしながら、私は白百合寮へと向かった。話しかけない、ただ顔を見るだけ。一目さゆりの美しい顔を見られるだけでいい。私に向かって微笑んでくれなくていいから、せめて遠目から見ることだけでも許して欲しい。何しろ半年もさゆりの顔を拝めていないのだから。
そうして白百合寮のさゆりの部屋に近づいてみると、少しだけドアが開いていた。それを見たら衝動を抑えられなくなり、中に入ってしまった。
「さゆりさん……?」
返事はない。もう少しだけ部屋に足を踏み入れてみて、白くて長い足が見えた。それを見た瞬間、「さゆりさんっ」と声をあげて部屋の奥へと入った。
「さっ、さゆり!?」
さゆりは床の上で倒れていた。そしてその姿に驚愕した。彼女の腹は大きく膨らんでいたのだ。
「さゆり!」
信じ難い光景に困惑しながらも、とにかく彼女を揺り起こそうと思った。しかしすぐに異変に気づく――脈がないのだ。
「うそ、でしょ……?」
さゆりの首には何かで締められた痕がある。私は尻餅を着き、その場にへなへなとへたり込んだ。全身の力が抜け、指先が震えていた。