聖女の愛した花園


 だから男性教師というのは考えにくい。そうなればさゆりお姉さまは秘密裏に男を外部から招いていたことになる。次々に浮かび上がる信じたくなかった事実に頭が痛くなる。もしかして私は、さゆりお姉さまのことを何も知らなかったのかもしれない――。

「蘭華お姉さまがさゆりさんのことを……気づきませんでした」

 ぽつりと呟き、沈黙を破ったのは筒見さんだった。

「だから私のことを妹にしたのですね」
「流奈が本当に妹だったとは思っていなかったけどね」
「私のこと、憎いと思ったでしょう?」
「……いいえ、むしろ腑に落ちたわ。私は結局さゆりの面影を求めていたのね」
「私もお姉さまの妹になればさゆりに近づけると思いました」
「お互いに利用していたのね」

 二人は顔を見合わせ、ふっと笑みをこぼす。

「私たち似たもの姉妹ね」
「同じことを考えていました」

 それから筒見さんは急に表情が変わる。

「一つご提案があります。ここにいる五人の部屋をそれぞれ調べてみる――というのはいかがでしょう」
「部屋を?」

 私は思わず聞き返す。

「ええ、共犯者がいるのではないかと思って」
「共犯者?」
「男子禁制の学院で万が一男性が出入りしていたのだとしたら、学院内に協力者がいたはずです。さゆりが寮から出られなくなってしまった以上、他に協力者がいたと考えるのが自然ではないでしょうか」
「なるほど、あり得るわね」


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