聖女の愛した花園


 笠吹さま以外の全員も同じ意見だったので、次は佳乃子さまの部屋に向かった。佳乃子さまの部屋も同じような感じだが、十字架が飾られていたり本棚に聖書が並べられているところが敬虔(けいけん)なクリスチャンだと物語っている。ベッドシーツも綺麗に整えられており、佳乃子さまの几帳面さが如実に表れている。クローゼットの中にも特に気になるものはなかった。ゴミ箱にも何も入っていない。

「では、黒薔薇寮に向かうでよろしいでしょうか」
「ええ。誰の部屋から見ますか? お姉さま」

 筒見さんが訊ねると笠吹さまは答える。

「私の部屋からでいいわよ。きっと一番見たいでしょうから」

 その言葉に従い、黒薔薇寮長の部屋から見ることにした。部屋はさゆりお姉さまの部屋と同じくらいの広さであり、部屋の中央には丸いカーペットが敷かれている。北欧から取り寄せた高級ブランド物だ。机も大理石と所々で笠吹さまのこだわりが感じられる。本棚には医学に関する本がぎっしりと詰められていた。

「お産に関する本もありますね」
「元々婦人科には興味があったから」
「婦人科を目指していたのですか?」
「そういうわけではないけど、ただこの環境にいると女性独自の医学には詳しくなりたいと思うのよ」
「そうですか」

 一応隈なく調べさせてもらったが、汚れた制服やナイフは先ほど回収したこともあり、他に気になるものはなかった。


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