聖女の愛した花園
もしも共犯者を匿うことになるのなら、部屋の広さ的に寮長室しか有り得ない。だが人が隠れられるような場所はクローゼットくらいしかないが、もちろん誰もいない。他の部屋もクローゼットに入ろうと思えば入れないこともないが、体の大きいであろう男性が入るとなると現実的ではない。
やはり笠吹さまは犯人ではなさそうだ。赤ん坊を取り上げたことは認めているし、彼女の犯人への憎しみは本心からだと思う。共犯者説を提示した筒見さんも犯人とは考えにくい。
実際次に向かった彼女の部屋も気になるものはなかった。ただ白雪家に関する週刊誌や新聞記事がスクラップされており、白雪に対する執念のようなものが感じられた。それを見られても彼女は平然としていた。
「もう良いでしょうか。次は渚さまのお部屋ですね」
「……」
「渚さま?」
「あっ、ああ……いいよ」
先程から姫宮さまはずっと青い顔をしている。特に突っ込んでいないが、ずっとソワソワして落ち着かない様子だ。絶対に何かある、と少しの違和感も見逃さないことを誓って部屋に向かった。
姫宮さまの部屋も他の部屋と大きくは変わらない。彼女らしさと言えば、クローゼットの中に和服があること。和服の中に着るための肌着も綺麗に畳んでしまわれている。他に目に付くのは首に巻くストールや大きめのカーディガンが多かった。