聖女の愛した花園
そういえば姫宮さまは夏でも長袖を着用されている。タイツを履かれることが多いし、あまり肌を露出しない。一度訊ねたことがあるが、肌が弱くて夏でも日光に晒せないと言っていた。いや、もしかして――?
自分の中である疑惑が生まれる。だがそれはあまりにも突拍子のないことだった。まさかそんなことが――と思いながら開けた引き出しの中に入っているものを見て、思わず息を飲む。
「これは……ピル、ですか?」
「ああ、そうだよ」
姫宮さまはコホンと咳払いしてから答える。
「私は生理が重くてたまに服用してるんだ」
「そうですか……」
何ら不思議なことではない、よくあることだ。だが、ピルの入っているケースの中にあるもう一つのものが気になった。恐らくはビタミン剤だ。肌荒れなどに効くよくある市販のものだろう。
別に同じ薬ケースの中にあっても不思議ではないと思う。常備薬として持ち歩いているのだとしたら何も違和感はない。ただ何となくピルとビタミン剤がパッと見て同じに見えることが引っかかった。
現実味がなくて突拍子もないという自覚はある。だが、これまで感じていた違和感のピースを当てはめていくと――それは一気に確信を強める。どくんどくん、と心臓が高鳴ってゆく。
「やっぱり人が隠れそうなところはないですね」
佳乃子さまがいう。
「そんなはずない! 絶対どこかにいるはずなのよっ!」