聖女の愛した花園
「蘭華お姉さま、落ち着いてください。だけどどの部屋にも男性がいそうな痕跡はなかったですよ」
「別の部屋に隠れているのよ。すべての部屋をしらみつぶしに探すわよ」
「待ってください」
鼻息を荒くして出て行こうとする笠吹さまを止める。
「男性のいた痕跡なら――あったかもしれません」
「えっ!?」
全員が驚いて私の方を見る。笠吹さまが目を三角にして詰め寄る。
「どこ!? どこにあるの?」
私は一呼吸置いて姫宮さまに向き直る。
「姫宮さま。以前日光に弱くて夏でも長袖を着ていらっしゃる、と仰っていましたよね」
「う、うん。そうだけど」
「本当は体型を誤魔化すためのものではないですか?」
「な……どういうこと?」
姫宮さまは喉元に手を触れた。
「冬は特にオーバーサイズのカーディガンを羽織られていたり、ストールを巻いておられます。今まで気にしたことありませんでしたが、なるべく体つきをわからなくするためだったのではないですか」
「違うよ、オーバーサイズが好きなだけだって。ストールも首が冷えるから――」
「その、喉にあるものを隠すためでは?」
「っ!」
姫宮さまがたじろいだのを見逃さなかった。
「あなたは話す前、よく咳払いをされます。きっと癖なのだと思っていました。でも、本当は少しでも高い声を出そうとしているからでは?」
「……」
「そしてあのピル。本当にあなたが服用していたのですか?」