氷の皇帝と、愛に凍えていた姫君 ~政略結婚なのに、なぜか毎晩溺愛されています~
私の問いかけに、彼はわずかに口角を動かして答えた。

「これが、礼装だ。――帝国皇帝としてのな。」

私はその言葉に、彼の姿勢と価値観の一端を垣間見た気がした。

戦いの中で生きてきた男。

情ではなく、誓いと責任だけで生きる人。

……それでも、私は今夜、彼の“妻”になるのだ。

部屋に案内され、扉が静かに閉まった。

私はその中央に置かれていたものに、思わず息を呑んだ。

「……これが、ウェディングドレス……」

柔らかな光をまとった真珠色のドレス。

細やかなレースと刺繍が裾まで美しく広がり、繊細なヴェールがふんわりと重ねられている。

あまりに美しくて、思わず手を伸ばしてしまった。

すると、そっと背後から声がかかる。

「ええ。皇帝が自ら発注なさった特別品ですよ。」

振り向くと、若い侍女がにこやかに立っていた。

「皇帝自ら……?」

あの冷徹なルシウス陛下が、私のために?
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