氷の皇帝と、愛に凍えていた姫君 ~政略結婚なのに、なぜか毎晩溺愛されています~
信じられなかった。彼は冷たく、感情の読めない人。

それなのに――こんなに丁寧に作られたドレスを?

「どうぞ、お着替えください。お手伝いします」

促されるままに着替えてみると、不思議なくらいぴったりだった。

まるで、私の身体のすべてを知っていたかのように。

「よかった……本当に、お似合いですよ。」

鏡の前に立つと、侍女が優しく微笑んで、私の髪を整え、顔に淡い化粧を施してくれた。

「さすが、お綺麗です。……これなら、陛下もご満足でしょうね。」

私の胸が、かすかにざわめいた。

このドレスを選んだのは、本当に彼――皇帝ルシウスなのだと。

そう思うだけで、冷たいはずの彼の指先が、ほんの少しだけ温かく感じられる気がした。

大広間の扉が、ゆっくりと開いた。

煌びやかな光が差し込むその空間には、すでに多くの家臣たちが整列していた。
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