氷の皇帝と、愛に凍えていた姫君 ~政略結婚なのに、なぜか毎晩溺愛されています~
「……お通しして」

どんな視線を向けられようと、私はこの国の皇后。

皇帝の“ただ一人の妻”なのだから。

その瞬間、私の中で何かが決意に変わった。

たとえ、心がまだ不安に揺れていても――戦う覚悟だけは、持たなければならなかった。

そして、重々しく扉が開いた。

入ってきたのは、二人の女性だった。

先頭に立つ女性は、高い位置でまとめた金髪を揺らしながら、優雅に歩を進める。

宝石のように輝く濃紺のドレスに身を包み、まっすぐに私を見据えていた。

「エリザベート・フォン・グレイスと申します。」

その名を聞いた瞬間、胸が強く高鳴った。

この方が――私が来る前まで、“皇后になる予定だった”と噂されていた女性。

次に口を開いたのは、そのすぐ後ろに立っていた、もう一人の女性だった。

「カレン・アルフォードです。」

その声は静かだったが、視線は一度も私に向けられなかった。
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