氷の皇帝と、愛に凍えていた姫君 ~政略結婚なのに、なぜか毎晩溺愛されています~
「だって……!」

カレンは悔しそうに唇を噛んだ。

その視線には、羨望と嫉妬が入り混じっていた。

私は、しっかりと背筋を伸ばして二人を見返した。

敵意はある。でも、恐れるわけにはいかない。

――私は、この国の“皇后”なのだから。

次の言葉が、自然と口からこぼれた。

「ご丁寧にありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。」

その一言に、エリザベートの瞳がわずかに細められた。

静かな火花が、空気に走った気がした。

「あの……」

去ろうとした二人の背中に、思わず声をかけていた。

自分でも、なぜ言葉が出たのか分からない。

ただ、聞いておきたかった。確かめておきたかった。

二人がゆっくりと振り返る。

私はほんの少し唇を引き結びながら、言った。

「お二人とも、“お妃”ということは……子どもを産む義務があるということ、ですよね?」
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