氷の皇帝と、愛に凍えていた姫君 ~政略結婚なのに、なぜか毎晩溺愛されています~
静まり返る部屋。

けれど、その沈黙は明らかに重かった。

エリザベートもカレンも、返事をしなかった。

「……お互い、頑張りましょう。」

自分なりに気を遣ったつもりだった。敵意はなかった。

でも――

「……本当に、分からないのですか?」

冷たい声が、私の胸を撃ち抜いた。

エリザベートが、鋭い視線で私をにらんでいた。

「……えっ?」

何が……分かっていないというの?

エリザベートは静かに、しかし威厳をもって一歩前に出た。

「私は確かに、皇帝陛下の婚約者でした。ですが――結婚前だったのです。」

その意味が、胸にじわりと広がっていく。

「つまり……私は、一度も陛下と夜を共にしたことはございません」

凍りつくような沈黙の中、私はようやくその意味を理解する。

――彼女たちは“側妃”ではあったけれど、“妃”ではなかったのだ。
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