氷の皇帝と、愛に凍えていた姫君 ~政略結婚なのに、なぜか毎晩溺愛されています~
強く、孤独の中で生きてきた彼。

誰にも甘えられず、ただ責任と威厳だけを抱えてきた彼。

私はそっと歩み寄り、彼の机の前で足を止めた。

そして、まっすぐに彼の瞳を見つめる。

「……これからは、私がいます。」

小さな声だったけれど、私の中のすべてを込めた言葉だった。

ルシウスは、驚いたように一瞬まばたきし、次の瞬間――ほんの少し、唇を緩めた。

「……ああ。頼む。」

その短い返事に、彼の心がわずかに開いた気がした。

それだけで、私の胸は、温かく満たされていった。

「その……今日、エリザベート様とカレン様に、お会いしました」

私が口を開くと、ルシウス陛下は書類を置き、何も言わずにこちらを見つめていた。

その沈黙が、少しだけ怖かった。

「……“妃”であるのに、夜を共にしたことはないと……おっしゃっていました。」

彼は、眉一つ動かさずに静かに答えた。
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