氷の皇帝と、愛に凍えていた姫君 ~政略結婚なのに、なぜか毎晩溺愛されています~
「――あれはお飾りだ。」

その言葉が、なぜか胸に引っかかった。

お飾り――つまり、形式だけの存在。

でも、そう簡単に割り切れない気持ちが、自分の中にある。

私は、それでも問いかけた。

「……どうして、彼女たちを“妃”として迎えたのですか?」

するとルシウスは、視線を逸らさず、低い声で言った。

「エリザベートは公爵の娘だ。帝国内でも影響力がある。……“結婚の話”も山ほどある。だから、宥めるために置いただけだ」

「……」

確かに、帝国の政治は複雑だ。

けれど、そうやって女の人が“宥めの道具”にされることが、どうしても苦しかった。

「カレンは――戦利品だ。」

「……戦利品⁉」

あまりに衝撃的な言葉に、私は思わず問い返した。

「敵国の王が送ってきたんだ。“娘を差し出すから、どうか国を滅ぼさないでくれ”と。」

その言葉に、背筋が凍った。

「そんな相手に、子どもができてみろ。……いい気になって、威張り散らすに決まっている。」
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