氷の皇帝と、愛に凍えていた姫君 ~政略結婚なのに、なぜか毎晩溺愛されています~
それは、きっと彼にとって、とても大きな譲歩だった。

私の胸の奥が、少しだけ温かくなるのを感じた。

もしかしたら、ほんの少しずつ。

この冷たい城に、あたたかな光が灯り始めているのかもしれない――そう思った。


そして――その夜。

本当に、ルシウスは私の部屋へやってきた。

重い扉が開き、見慣れた軍服姿の彼が無言で入ってくる。

私は思わず立ち上がってしまった。

胸の奥がざわめいていた。

嬉しいのに、どこか複雑な気持ちが拭えなかった。

「……あの、今夜は……」

言葉を選びながら、私は問いかけた。

「他の妃のところへ行かれるのかと……」

ルシウスは、面倒くさそうに肩をすくめた。

「ああ。あの二人なら、家に帰した。」

「――えっ!?」

思わず、声が上ずった。

「どうして……!?」

彼は眉ひとつ動かさず、はっきりと答えた。

「君がいるのに、他の妃なんて必要ないだろ。」
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