氷の皇帝と、愛に凍えていた姫君 ~政略結婚なのに、なぜか毎晩溺愛されています~
「違う……従うのではない。これは、和平だ。生きるための、国を守るための選択だ」

父の言葉は、まるで自分自身を納得させるような響きを持っていた。

その瞬間、私は直感した。何かが、変わろうとしている。

私自身の運命も――。

数日後、ついにルナリエ軍が帰還したとの報せが入った。私は走り出しそうになる足を必死に堪え、王宮の正門で彼らを迎えた。

「兄上!」

先頭に立って馬を降りた兄――王太子レオニスの姿を見た瞬間、胸がいっぱいになった。

父が駆け寄り、思わず抱きしめる。

「おお……よくぞ、生きて帰って来た……!」

「父上……」

兄は、静かに頭を下げると、すぐにエリオナの元へ向かった。

義姉はふっくらとしたお腹を抱え、涙ぐみながら微笑む。

その姿を見た兄の目に、溢れるような涙が浮かんだ。

「……申し訳ない。お前のそばにいてやれなくて……」
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