氷の皇帝と、愛に凍えていた姫君 ~政略結婚なのに、なぜか毎晩溺愛されています~
「今日は……休みを取った。」

「……休み?」

驚いて見つめると、彼はゆっくりとまぶたを開け、私を見つめ返す。

「たまには、いいだろ。今日は庭に行こう。宮殿自慢の庭園がある。」

その言葉に、私の胸がぱっと明るくなった。

「庭園! お茶とか……飲める?」

私が身を起こしながら聞くと、ルシウスは頷いた。

「飲める、飲める。陽の当たるところがいい。」

私たちは顔を見合わせて、自然に笑い合った。

こんな朝があるなんて、思ってもみなかった。

この人と、心から笑える日が来るなんて。

けれど――その優しい空気を、彼のひと言がさらりと破った。

「……その前に」

「ん?」

ルシウスは、私の腰に手を伸ばし、すっと引き寄せる。

「朝も君を抱く。」

「……っ」

耳元で囁かれたその言葉に、顔が一気に熱くなる。

まったく、油断も隙もない。

だけど、その甘い欲望が――

私は、少しだけ、嬉しかった。

「……お手柔らかに、お願いします。」

小さくそう言った私に、ルシウスは満足そうに笑った。

そして、新しい一日が、彼の腕の中で始まった。
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