氷の皇帝と、愛に凍えていた姫君 ~政略結婚なのに、なぜか毎晩溺愛されています~
思わず顔をしかめた。

喉の奥に張りつくような強い苦味。

薬の苦さには慣れていたけれど、それでも、これは明らかにおかしい。

(……こんなに、苦かったかしら。)

そう思う間もなく、強烈な眠気が襲ってきた。

瞼が重い。呼吸が浅く、胸が苦しい。

「……はぁ……はぁっ……」

息が吸えない。頭が回らない。

まるで肺の奥に、何か冷たい手が伸びてきているようだった。

「ど……うして……こんな……」

朦朧としながら、私は机の上に置かれていた薬袋に目をやった。

裏をめくり、成分や医師の署名を探そうとした――でも。

「……え……?」

袋には、何の記載もなかった。

成分表も、処方医の名前も。

ただの茶色い袋――不自然なほどに、何も書かれていない。

(まさか……これって……)

急に冷たい汗が背筋を伝った。

まさか、これは――毒?

視界がぐらりと揺れて、私はそのまま床へと崩れ落ちた。
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