愛しのマイガール
「ねえ、翔真さん。どうして今日、急に会いたいなんて言ってくれたの?」
ふと気になって、私はそう尋ねた。翔真さんは少し目を伏せ、それからぽつりと答えた。
「なんとなく、瑠璃の顔が見たくなったんだよ。最近色々あってさ。頭がごちゃごちゃで」
「仕事、大変なの?」
「………まぁね。新しい案件がちょっと…地雷でさ。クライアントが細かくて、会議も詰めっぱなし。ストレス、すごくてさ」
そう言って笑った翔真さんの表情は、どこか疲れて見えた。
「でも、瑠璃と話してると落ち着くんだ。顔見てるだけで癒される」
「ほんと? 嬉しい」
そう微笑み合う私たちの間には、穏やかでほんの少し甘い空気が流れていた。
付き合い始めてから、もうすぐ半年。最初のぎこちなさは少しずつなくなって、今ではこうして自然に笑い合えるようになった。
翔真さんと一緒に過ごす時間は、私にとって癒しの時間だった。
仕事に追われて疲れた日も、撮影で心がすり減った日も、「がんばったね」と隣に座ってくれる人がいる。その存在が、どれほど心強かったか。
肩を並べて、ゆっくり歩く。
話す内容は、仕事のことや最近観た映画、私の撮影の話など、他愛ないものばかり。でもそんな何気ない会話のひとつひとつに翔真さんのユーモアが混ざっていて、気づけば私は何度も笑っていた。
時間はあっという間に過ぎて、帰り道。ゆるやかな坂道の途中で、翔真さんがそっと手を差し出した。
「瑠璃、足元気をつけて」
「うん。ありがとう」
その手を取ると彼は少しの間、私の手を握ったまま離さなかった。
やわらかくて、あたたかくて。私はそのぬくもりに、少しだけ甘えてしまいたくなった。