愛しのマイガール
──ただ、その思いと裏腹に、体の方がついてこない。
朝、布団から出るのに少しだけ時間がかかるようになった。
寝てもだるさが抜けず、体がずっと重たい。
食事もきちんと取っているつもりなのに、時々、吐き気に似た違和感が喉元をかすめる。
「……疲れがたまってるだけだよね」
鏡の前でぽつりとつぶやいて、自分の頬を軽く叩いてみる。
ほんの少し色が薄くなったような気がするけれど、気のせいだと信じたかった。
だって、私はちゃんと進めている。
甘えてばかりだった私が、少しずつでも変わろうとしている。
その歩みを止めたくなかった。
午後のレッスンが始まると、英子さんはすぐに私の小さな変化に気づいたようだった。
歩き方、姿勢、グラスの持ち方。
「少しずつ、体に馴染んできましたね」
そんなふうに言われると、うれしくて、思わず背筋をもう一段と伸ばしてしまう。
(……ん…?)
そのときふと、目の前がかすんだような気がした。
体の内側で、何かが微かにずれている感覚。
まるで、ぎりぎりで保っている糸が、どこかで擦り減り始めているような。
──でも、大丈夫。
まだ音を上げてる場合じゃない。
私はそう言い聞かせて、ナプキンを手に取った。