愛しのマイガール
「仕事の依頼人。あと月城の女」
「あ、そうだったんだ」
紬ちゃんのお母さんはそう言うと、スッと立ち上がった。
「名乗るのが遅くなってしまい申し訳ありません。私、天城雫と申します。こちらが娘の紬です。月城さんには、アメリカ滞在中に家族ともどもとてもお世話になっていたんです」
「あ……」
私も慌てて立ち上がり、頭を下げる。
「こちらこそ、天城先生には訴訟の件で助けていただいていて……。私は、蓬来瑠璃です。巴琉さんとは、婚約をさせていただいてまして…」
「そうだったんですね。おめでとうございます」
雫さんが柔らかく微笑んでくれた。お祝いの言葉に嘘や形式ばった感じはなく、心からの気持ちがにじんでいた。
「ありがとうございます……」
そう返しながら、私はどこかそわそわしている自分に気づいた。
さっきまでの温かい雰囲気に身を委ねていたはずなのに、天城さんが来た途端、空気がひんやりと変わったように感じてしまったのだ。
けれど——
「いっちゃん、お仕事は大丈夫?ごめんね、近くまで押しかけちゃって」
「構わない。それより飯はもう食ったのか?」
「まだだよ。つーちゃんがパパを待つんだって言うから……。お腹すいてたみたいだから、ミルクだけ頼んだけど」
「そうか。なら俺もここで食うから、一緒に帰ろう」