愛しのマイガール

天城さんの手が、自然な仕草で雫さんの体に触れる。

その様子に、私は思わず目を見開いた。さっきまで冷たさをまとっていた人が、今はまるで別人のように、優しさで満ちている。

「パパおそいよ〜。つーおなかすいた」

「悪かったよ」

不器用にかがんだ天城さんの手が、今度は紬ちゃんの小さな頭を優しく撫でる。

その一連のやりとりはどこまでも自然で、あたたかくて——まるで、永遠にこの光景が続くかのようだった。

「……素敵」

気づけば、そんな言葉が口をついて出ていた。

雫さんが、ふと私の方を見て微笑む。

「ありがとうございます」

彼女の頬にふんわりと紅が差す。そして視線は、隣に立つ天城さんへ向けられた。愛しさをたたえたまなざしが、その想いの深さを物語っていた。

雫さんと紬ちゃんに囲まれた天城さんは、私が知っている刺々しい彼ではなかった。

……ただの恋じゃなくて、愛って、こういうことなのかもしれない。

温度も、かたちも、言葉の選び方も全部違っていても、それは確かに、そこにあった。

< 119 / 200 >

この作品をシェア

pagetop