愛しのマイガール
私は、席を立つタイミングを失ったまま、ただ三人の穏やかなやりとりを見つめていた。
その光景が、胸の奥にじんわりとあたたかく染み込んでいく。
(私も……こんなふうに、なりたい)
ただ甘えるだけでも、強がるだけでもなくて。
ちゃんと想い合って、信じ合って、一緒に時を重ねていく関係。
そして、私がそうしていきたいのは……
(……ハルちゃんとが、いい)
隣に立ちたい、なんて曖昧な願いじゃ足りない。私は、ハルちゃんのそばに……誰よりも、近くにいたい。
一緒に笑って、支え合って、生きていけたらって……そんな未来を、望んでしまっていた。
「……あの、すみません。私、そろそろ、戻ります」
そう言って席を立ち、軽く頭を下げる。
雫さんはやわらかく微笑んでくれて、天城さんは無言のまま、けれどわずかに頷いた。
外に出ると、日はすっかり高くなっていた。夏の気配を帯びた陽射しが、容赦なくアスファルトを照らしている。
その眩しさに目を細めながら、私は立ち止まった。
(ハルちゃん……会いたいな)
変わりたいと思って、少しずつでも動き出して。心が折れかけたこともあったけど、それでも私は今、芽生え始めたこの気持ちを、無視したくない。
その想いを胸に抱きながら、私は静かに歩き出した。
——そして夕暮れ時。
庭園のベンチに座っていた私は、玄関の音に気づいて、そっと顔を上げた。